屋根は「葺き替え」と「塗装」の2種類のメンテナンス方法があります。
葺き替えは屋根材を張り替えるリフォーム工法で、屋根塗装は塗料(塗膜)で屋根材を保護する工法です。
それぞれ、”施工費用”や”耐用年数”が異なり、今後の「居住年数」や「リフォームプラン」を考慮してメンテナンス方法を検討することが重要です。
この記事では、リフォームスタイリストの実務経験を元に屋根のリフォームで費用対効果が最大化するメンテナンスプランについて解説します。
葺き替え工事と屋根塗装工事の建坪別の費用相場と耐用年数を比較することで、現在の住宅の状況で効果的なリフォーム工法を独自に判断できるようになります。
是非、この記事を参考にして下さいね。
屋根葺き替えと屋根塗装の費用相場
屋根材の種類 | 屋根塗装 | 葺き替え |
---|---|---|
日本瓦 | 必要なし | 40年〜50年を目安に必要 |
セメント瓦 | 10年に1度を目安に必要 | 30年〜35年を目安に必要 |
スレート瓦 | 10年に1度を目安に必要 | 25年〜30年を目安に必要 |
トタン | 10年に1度を目安に必要 | 20年〜25年を目安に必要 |
屋根の葺き替え工事は屋根材が耐用年数(寿命)を超えて、屋根塗装の費用対効果が低下した際に有効です。
日本瓦はメンテナンスフリー(塗装の必要が無い)屋根材で耐用年数も80年〜100年と長期的な屋根材ですが、ルーフィング(防水シート)が劣化をします。
ルーフィングの耐用年数の40年〜50年を目安に、”葺き替え工事”か”葺き直し工事”を施工するのが一般的です。
「セメント瓦」「スレート瓦」「トタン」は屋根塗装でのメンテナンスが基本です。
耐用年数を経過し、屋根材が塗装の下地として使用できない際に屋根の葺き替えが必要になりす。
この前提を踏まえて”屋根葺き替え”と”屋根塗装”の費用を比較してみましょう。
屋根葺き替えの費用相場
瓦屋根
瓦屋根からガルバリウム鋼板に葺き替えることで、屋根が1/6ほど軽量化できるます。
そのため、耐震リフォームとしてガルバリウム鋼板への葺き替えが現在の主流です。110万円〜180万円が中心価格帯です。
スレート屋根
費用対効果が高いため、ガルバリウム鋼板に重ね葺き(カバー工法)がスレート屋根の葺き替え工事の主流です。
80万円〜140万円が中心価格帯です。
トタン屋根
費用対効果が高いため、ガルバリウム鋼板に重ね葺き(カバー工法)がトタン屋根の葺き替え工事主流です。
80万円〜140万円が中心価格帯です。
屋根塗装の費用相場
塗料 | 30坪(66㎡) | 40坪(87㎡) | 50坪(108㎡) |
---|---|---|---|
ウレタン樹脂 | ¥393,700 | ¥493,550 | ¥591,000 |
シリコン樹脂 | ¥446,500 | ¥563,150 | ¥677,400 |
フッ素樹脂 | ¥565,300 | ¥719,750 | ¥871,800 |
遮熱・断熱樹脂 | ¥578,500 | ¥737,150 | ¥893,400 |
屋根塗装は10年に1度の期間で必要な屋根のメンテナンスです。
費用と耐用年数(耐久性)のバランスが良く、費用対効果の高い塗料として屋根塗装では「シリコン塗料」が現在の主流です。
40万円〜60万円が屋根塗装の中心価格帯です。
屋根葺き替えと屋根塗装の基礎知識
屋根葺き替えは既存の瓦を撤去して新しい屋根材に交換する「葺き替え」と、既存の屋根材をそのまま活用する「葺き直し」と「重ね葺き(カバー工法)」の3種類の工法があります。
屋根塗装は「シリコン樹脂」や「フッ素樹脂」など使用する塗料の種類によって耐用年数(耐久性)が異なり施工費用も変動します。
このように屋根の工事は「屋根材の種類」や「塗料の種類」によって費用が変動するので、適正価格でリフォームを行うために工事内容に関する知識を持っておくことが重要です。
具体的に屋根の”葺き替え”と”屋根塗装”の基礎知識について見ていきましょう。
屋根葺き替え
屋根の葺き替えは”工法の種類”と”屋根材の種類”で価格が変動します。
適正価格で工事を行うために、「工法の種類」と「屋根材の種類」について解説します。
葺き替えの種類
内容 | 葺き替え | 葺き直し | 重ね葺き(カバー工法) |
---|---|---|---|
費用相場 | 110万円〜180万円 | 80万円〜120万円 | 90万円〜150万円 |
対象屋根材 | 日本瓦・セメント瓦・スレート瓦・トタン | 日本瓦 | スレート瓦・トタン |
施工方法 | 既存の屋根材を撤去して、新しく屋根材を交換する工法。 | 既存の屋根材を去し、下地を補修後、屋根材を再度、積み直す工法。 | 既存の屋根材の上に、新しい屋根材を被せる(カバーする)工法。 |
よくある事例 | 日本瓦→日本瓦
日本瓦→ガルバリウム鋼板 セメント瓦→ガルバリウム鋼板 |
日本瓦→日本瓦 | スレート瓦→ガルバリウム鋼板 トタン→ガルバリウム鋼板 |
※費用相場は建坪30坪(66㎡)の切妻屋根の住宅を基準に算出 |
地震に強い屋根にするために「日本瓦」や「セメント瓦」などの瓦屋根は、ガルバリウム鋼板への葺き替えが、現在の主流です。
「スレート瓦」や「トタン」は費用対効果の高い屋根リフォームを実現できるため、重ね葺き(カバー工法)によるガルバリウム鋼板への葺き替えが主流です。
屋根材の種類
屋根材の種類 | 日本瓦 | スレート瓦 | ガルバリウム鋼板 |
---|---|---|---|
施工単価 | ¥8,000~¥10,000/㎡ | ¥5,000~¥7,000/㎡ | ¥6,000~¥8,000/㎡ |
耐用年数 | 80年〜100年 | 20年~25年 | 40年〜50年 |
耐震性 | × | ◯ | ◎ |
メンテナンス | 不要 | 屋根塗装(10年に1度) | 不要 |
葺き替え工事は交換する屋根材の種類によって「耐用年数(耐久性)」と「施工費用」が変動します。
そのため、葺き替え工事では費用対効果の高い屋根材を選択することが成功の秘訣です。
”スレート屋根”や”トタン屋根”などの重ね葺き(カバー工法)が施工できる屋根では、ガルバリウム鋼板で重ね葺きリフォームが費用対効果が高く現在の主流になっています。
”日本瓦”や”セメント瓦”などの瓦屋根も同様に費用対効果と耐震性能の高さから現在の、ガルバリウム鋼板に屋根を葺き替えるのが現在の主流となっています。
ただし、日本瓦が似合う和風住宅をガルバリウム鋼板に葺き替えると、住宅の美観が損なわれる危険性もあります。
その場合は、通常のガルバリウム鋼板より施工費用が割高になりますが、耐震性と美観性を両立できる「瓦タイプ」のガルバリウム鋼板も流通しているので検討してみましょう。
屋根塗装
屋根塗装は「シリコン樹脂」や「フッ素樹脂」など塗料の種類によって耐用年数(耐久性)が異なります。
塗料の種類によって将来の”メンテナンスサイクル”や”トータルコスト”が決定するため、屋根材の劣化状況や耐用年数を検討して塗料を選ぶことが重要です。
それでは、具体的に屋根塗装の基礎知識について見ていきましょう。
塗料の種類
塗料の種類 | 耐用年数 | 施工単価 |
---|---|---|
ウレタン | 6年~8年 | ¥1,200〜¥1,800 |
シリコン | 10年~13年 | ¥1,600〜¥2,200 |
フッ素 | 15年~20年 | ¥1,800〜¥3,600 |
遮熱・断熱 | 15年~20年 | ¥2,300〜¥3,000 |
シリコン塗料は「耐用年数」と「施工単価」のバランスが良く、費用対効果が高いため、屋根塗装で最も主流な塗料です。”スレート瓦”や”セメント瓦”の塗装に最適です。
ウレタン塗料は耐用年数は短いですが、柔らかく、密着性が高いために、”トタン”の屋根塗装に最適な塗料です。
屋根材別の外壁塗装の特徴
種類 | 耐用年数 | 塗装目安 | 適正塗料 |
---|---|---|---|
セメント瓦 | 30年〜35年 | 10年〜13年 | シリコン塗料 |
スレート瓦 | 25年〜30年 | 10年〜13年 | シリコン塗料 |
トタン | 20年〜25年 | 8年〜10年 | ウレタン塗料 |
屋根材には「スレート瓦」や「トタン」「セメント瓦」がありそれぞれ、補修方法が異なります。
特に、「セメント瓦」は現在生産が終了しているため、業者に在庫がない場合は、「部分交換」などの補修ができません。
そのため、「セメント瓦」は屋根塗装ではなくガルバリウム鋼板への葺き替え工事が行われるのが一般的です。
このように屋根塗装は屋根材によって補修方法や特徴が異なるので、実際に屋根のメンテナンスを行う前に、屋根材の種類と特徴を把握しておくことが重要です。
屋根葺き替えと屋根塗装の業者の選び方
「屋根の葺き替え」と「屋根塗装」では施工業者が異なります。
同じ工事内容であっても、業者によって価格差や提案内容が違う場合もあります。
そのため、「葺き替え工事」と「屋根塗装」で有利になる業者の選び方について理解を深めることが重要です。
それでは、「屋根葺き替え」と「屋根塗装」の業者の選び方について解説します。
屋根葺き替えの場合
葺き替えの種類 | 適正業者 |
---|---|
日本瓦→日本瓦 | 屋根瓦業者 |
日本瓦→スレート瓦 | 屋根瓦業者 |
日本瓦→ガルバリウム鋼板 | 屋根板金業者 |
スレート瓦→スレート瓦 | 屋根瓦業者 |
スレート瓦→ガルバリウム鋼板 | 屋根板金業者 |
スレート瓦→ガルバリウム鋼板(重ね葺き) | 屋根板金業者 |
トタン→ガルバリウム鋼板 | 屋根板金業者 |
トタン→ガルバリウム鋼板(重ね葺き) | 屋根板金業者 |
屋根葺き替え工事の適正業者は、「屋根瓦業者」と「屋根板金業者」が適正業者になります。
”日本瓦から日本瓦”への葺き替えなど、「瓦」に関する修理やリフォームは自社で直接施工ができる「屋根瓦業者」が適正業者になります。
また、”日本瓦からガルバリウム鋼板”、”トタンからガルバリウム鋼板”などの「葺き替え工事」や「重ね葺き工事(カバー工法)」は「屋根板金業者」が適正業者になります。
屋根瓦業者
屋根瓦業者とは和瓦(日本瓦)屋根の修理やリフォームを専門とする業者です。瓦屋根の葺き替え工事や修理の適正業者です。
屋根板金業者
屋根板金業者とは、金属屋根(ガルバリムウム鋼板、トタン)などの加工や修理、葺き替えを専門とする業者です。ガルバリウム鋼板の「葺き替え」「重ね葺き(カバー工法)」の適正業者です。
屋根塗装の場合
屋根塗装は自社で直接施工ができる「塗装業者」が適正業者です。
”スレート瓦”や”トタン”などの屋根材の種類問わず塗装工事は、「塗装業者」が専門業者なので屋根塗装の際は「塗装業者」に工事を依頼しましょう。
まとめ
いかがでしたか?「屋根の葺き替え」と「屋根塗装」についてご理解頂けたかと思います。
本文中でもお伝えしましたが、屋根の「葺き替え」と「塗装」では費用相場が大幅に異なります。
また、メンテナンスを行うタイミングや期間もそれぞれ異なるので、屋根リフォームで失敗しないためにも「葺き替え工事」と「塗装工事」の違いをしっかりと理解して正しい知識を持って取り組むことが重要です。
コメント