「強風や台風の影響で屋根材がめくれてしまった」、「雪の重さで雨樋が歪んでしまった」など、”風災・雪災”による屋根の不具合や劣化は、火災保険の保険金による修理が可能です。
しかし、屋根修理における火災保険の利用は、一般的にほとんど認知されておらず、”風災・雪災”が原因となる屋根の不具合であっても、多くの人が自己負担で屋根を修理しているのが現状です。
この記事では、これまで火災保険を利用した屋根修理の実績を踏まえて、屋根修理に火災保険を利用する際に失敗しない申請方法にまとめました。
火災保険を申請できる屋根の「風災・雪災事例」を始め、火災保険を申請する具体的な手順や期間、業者の選び方についてもお伝えします。
火災保険は正しく請求することで、希望額に近い保険金が簡単に保険会社より支払われるので、「保険金で貯金を減らさずに修理がしたい」という方は是非、この記事を参考にして下さい。
屋根修理で火災保険を申請する基礎知識
屋根修理で火災保険を申請する際に基本は「被災した屋根(経年劣化は除く)を被保険者自身が申請する」ことです。
屋根修理について調べていると、火災保険の申請代行業者が「保険会社に対するその一言で、保険金が貰えなくなります」と不確実性を煽る表現がインターネット上で見かけられます。
このような言葉を聞いてしまうと「火災保険を申請するのは難しそう」「プロじゃなければ上手く申請できない」と勘違いされる方も少なくありませんが、これは火災保険の申請代行を目的とした会社が好んで使用するフレーズで鵜呑みにしてはいけません。
火災保険の申請代行による火災保険の請求は、保険会社より支払われた保険金の10%〜30%を手数料として、申請代行会社に支払います。
経年劣化であっても「風災・雪災」に見せかけて火災保険を請求する悪質な業者も存在し、いつお間にか「保険金詐欺の片棒を担いでいた」という事例も報告されており、国民消費者センターや保険会社も注意を呼びかけています。
このような屋根修理の火災保険の”トラブル”や”詐欺”に巻き込まれないために、火災保険の申請は「被保険者自身が申請すること」が基本中の基本です。
それでは、具体的にどのように屋根修理で火災保険を申請すれば良いのでしょうか?
まずは、火災保険を申請できる「風災・雪災」について理解を深めましょう。
火災保険を申請できる風災・雪災の事例
火災保険を適切に申請するために必要な「被災情報」を確認するために、風災や雪災で発生しやすい屋根の不具合や劣化状況を知ることが重要です。
例えば、強風で不具合が生じやすい箇所に「棟板金(屋根の頂点にある金属のカバー)」がありますが、この棟板金の釘が浮いていたとします。
火災保険に関して無知な”塗装業者”や”リフォーム会社”の場合、火災保険の提案もなく、屋根にのぼって釘を打ち替えて終わりです。そして、屋根修理で火災保険を申請する際の重要な「被災情報」となる「釘の浮き」が無くなり、火災保険を請求できなくなります。
このように火災保険の保険金で修理できる不具合や劣化であっても、業者の知識レベルによって「提案すらされなかった」というケースが圧倒的に多いのが現状です。
屋根修理で不利益を被らないためにも、風災や雪災で発生しやすい屋根の不具合や劣化症状について理解を深めましょう。
屋根修理の火災保険の風災事例
風災とは強風や突風、台風や豪雨といった「風」による被災を指します。火災保険の風災補償の対象です。
屋根修理の火災保険の雪災事例
雪災とは積雪を始め、雹(ひょう)、落雪などの「雪」による被災を指します。火災保険の雪災補償の対象です。
屋根修理の火災保険の申請方法
火災保険は申請(事故報告)を行ってから30日以内に補償金が振り込まれます。ただし、事実関係を照会、調査するために90日間の猶予があります。火災保険の申請を行ってから補償金が振り込まれるまでには30日〜90日の期間を見込んでおくと安心です。
補償金額は請求金額は契約内容にもよりますが100%承認されることはなく、請求金額の75%〜85%が相場です。屋根の修理で100万円の請求した場合、75万円〜85万円の補償金が振り込まれる計算です。
これらの前提を踏まえて屋根修理の火災保険の申請方法について具体的に解説します。
火災保険と火災共済の違い
火災保険と共済保険の違いは、運営母体と運営母体の違いです。火災保険は保険会社運営しており、営利目的です。一方、火災共済は「県民共済」や「全労済の住まいる共済」など地方自治体や公的機関が非営利で運営している保険です。補償金額が異なり、火災共済の方が少ない傾向にあります。適用できる条件は「火災保険」と「火災共済」ともに同じなので一度申請してみることをオススメします。
【ステップ1】屋根修理業者による現地調査
火災保険を申請できる「風災」や「雪災」による被害は応急処置が必要な場合もあるために、火災保険を保険会社に請求する前に、屋根修理業者に現地調査を行ってもらうことが重要です。
屋根修理業者に現地調査を行ってもらうことで、”被害状況”や”修理内容”、”見積もり金額”などの事前情報が得られるので、スムーズに火災保険の申請を行えます。
火災保険の申請には「被害物の写真」や「事故報告書」が必要になるので、火災保険の申請を前提とした屋根修理の現地調査は、「火災保険に精通した業者」に依頼することが重要です。
「火災保険に精通した業者」はホームページの”施工実績”に掲載されているので現地調査を依頼する際は、お問い合わせの段階で、「火災保険で屋根を修理したい」と伝えるようにしましょう。
このように火災保険を請求する際は、事前情報を得るために「火災保険に精通した業者」に現地調査を依頼するようにしましょう。
【ステップ2】保険会社へ事故報告(これが保険申請となります)
屋根修理業者の現地調査が完了したら、保険会社へ事故報告を行います。これが保険申請となります。
「下手なことを言うと、保険金が減額される」と確実性を煽るような言葉がネット上ではよく聞かれますが、保険会社の事故報告は必ず被保険者であるあなた自身が行うことが重要です。
代行業者が火災保険を悪用し、保険金詐欺に発展した事例もあり気づかぬうちに「保険金詐欺」の片棒を担いでいたという危険もあります。
「消費者センター」や「保険会社」も注意喚起をしており、このような火災保険のトラブルに巻き込まれないために、保険会社の事故報告は被保険者であるあなた自身が行うようにしましょう
【ステップ3】保険金請求書・事故報告書・などの必要書類を提出
保険会社に提出する書類は、「保険金請求書」「事故報告書」「修理見積書」「被害物の写真」の4つの種類です。
「保険金請求書」と「事故報告書」は被保険者自身が用意し、「修理見積書」と「被害物の写真」は現地調査を行った屋根の修理業者が用意します。
このように火災保険の請求に関する書類は「被保険者が用意するもの」と「修理業者が用意するもの」があるので確認しておくようにしましょう。
それぞれ、提出する際のコツについて解説します。
被保険者(あなた)が用意する書類
被保険者が用意する書類は「保険金請求書」と「事故報告書」の2つです。「保険金請求書」は保険会社に事故報告を行った際に送付される書類です。
「事故報告書」は損害の詳細を記入する書類ですが、保険会社によってフォーマットが異なり「保険金請求書」の内容に含まれているものもあります。
「事故報告書」は現地調査の際に業者が提出する「屋根調査報告書」をもとに記入をすると説得力が増します。
「調査報告書」がない場合は、業者にアドバイスをもらいながら記入すると間違いないので、業者と被害状況を確認して記入するようにしましょう。
修理業者が用意する書類
屋根の修理業者が用意する書類は「修理見積書」と「被害物の写真」です。被災状況の詳細は実際に屋根に登らなければ分からないため、「被害物の写真の撮影」は必ず業者に撮影してもらうようにしましょう。
被害物の写真に関する基礎知識
被害物の写真は被災状況と個人を特定するための重要な書類になります。被災状況の写真の他に、「住宅全体の写真(外観)」「表札」など所有者や個人を特定できる写真も撮影しておきましょう。提出する際は、チャックのついたビニールに写真と撮影箇所の付箋やメモ書きを入れて提出すると情報を整理しやすいです。
【ステップ4】鑑定人(保険会社側)による屋根調査の実施
被災状況の事実確認を行うために、(社)日本損害保険協会から派遣された鑑定士による現地調査が行われます。
「保険会社と鑑定士がグルになっている」というサイトがありますが、一切そのようなことは無く、提出した「事故報告書」との被災状況の整合性の確認や、修理方法と見積もり価格の妥当性などの調査になります。
保険の申請内容との整合性を確認するためのものなので、被災状況を正直に伝えることが重要です。
【ステップ5】被災額を確定し、保険金が支払われる
申請書類と鑑定士による現地調査の結果に基づいて被災額が確定し、保険金の支払いが認定されます。そして、保険金が被保険者の口座に振り込まれます。
【ステップ6】屋根修理工事
保険金の支払いが完了後、屋根の修理が行われます。
被災状況によっては火災保険の保険金が承認される前に修理を行う場合もありますが、「被災状況の写真」や「事故報告書」などの書類に不備があった際に後戻りができません。
雨漏りなどの緊急性がない場合は、応急処置にまでに留めておき、保険金が支払われてから修理を行う方が確実です。
屋根修理の火災保険の査定額を上げるコツ
屋根修理で火災保険を申請する際に、特別な知識やノウハウは必要ありません。火災保険の査定額を上げるコツは適切な書類を用意することです。
適正な書類とは見積書ですが、「安く見積もらないこと」「必要以上に請求しないこと」が屋根修理の火災保険の申請には重要です。
具体的に屋根修理の火災保険の査定額を上げるコツについて解説します。
火災保険の申請の見積もりに値引きはいらない
火災保険は修理金額の合計によって被災額が決まりまるので、火災保険を請求する際の見積もりには値引き金額を含まないようにしましょう。
これは修理後に火災保険を申請するケースに多いのですが、値引き金額が記載された見積書しか残っていない場合、値引きされた金額で査定されてしまいます。
被災状況を適切に評価してもらうためにも、火災保険を請求する際の見積もりは値引き金額
を含まないようにしましょう。
明瞭な見積書を作成してもらう
火災保険はあくまでも風災・雪災によって被災した箇所に対して補償されるので、火災保険の申請で使用する見積書は修理箇所と修理方法を明確にした明瞭な見積書を作成してもらうことが重要です。
「修理項目」「施工単価」「使用部材」「施工面積」まで記載して修理の妥当性を明確にすることが重要です。
このように屋根修理で火災保険を申請する際は明瞭見積書で申請をすることが適切に評価されるために重要です。
まとめ
いかがでしたか?屋根修理の火災保険の申請方法についてご理解いただけたかと思います。
本文中でもお伝えしましたが屋根修理で火災保険を申請する際に最も重要なことは、火災保険の申請に精通している業者に現地調査を依頼することです。
火災保険の申請に知識のある修理業者に現地調査を依頼することで、「事故報告書」や「被災状況写真の撮影」などを確実に行ってくれるので、屋根修理で火災保険を申請を検討されている方は慎重に修理業者を選ぶようにしましょう。
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